大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(う)1631号 判決

本件記録を調査するに、被告人は昭和二六年七月一八日窃盗罪で次で同年八月一日昭和二四年政令第三八九号違反罪で各起訴され、以上二被告事件は原審において併合審理されたが、原審は昭和二七年二月二八日の公判期日に右窃盗被告事件についてのみ被告人を懲役一年六月に処する旨の判決を宣告し、次で同年三月一八日右政令違反被告事件について被告人を罰金八千円に処する旨の判決を宣告した旨の公判調書及びその判決原本の存在することは所論のとおりである。

よつて原判決は所論のように審判の請求を受けた事件につき判決をしないものであるかどうかにつき按ずるに、原審の各公判調書の記載、殊に昭和二十七年二月二八日附の公判調書の記載に同日附分離決定書及びその各送達報告書を綜合するときは、原審は従来右二被告事件を併合審理して弁論を終結し乍ら、昭和二七年二月二八日の判決宣告公判期日には右二被告事件を分離する旨の決定をすることなく、単に窃盗被告事件についてのみ判決を宣告し、その宣告後右政令違反被告事件を分離する旨決定し、改めて右政令違反被告事件の判決宣告期日を昭和二七年三月一八日と定めて、これを被告人及び弁護人に送達し、同期日に右政令違反被告事件につき被告人を罰金八千円に処する旨の判決を宣告したものであることを認めるに十分である。

而して刑事訴訟法第三一三条の規定によれば裁判所が弁論の分離併合をするにはその旨の決定を為すべきものであることが定められているのであるから、原審が昭和二七年二月二八日の公判期日に右二被告事件を分離する旨の決定をせずして、単に窃盗被告事件のみについて判決の宣告をし、その後に分離決定をして見ても、最早それは右二被告事件を分離する効果を発生する余地のないものであり、原審の右手続は正に訴訟手続法令に違反するものと認めなければならない。

しかし、昭和二七年二月二八日の公判期日に右窃盗被告事件のみについて判決を宣告したことにより右二被告事件は事実上分離された結果を生じ、右政令違反被告事件はなお原審の訴訟係属に属していたものであるから、その後公判期日を定めて宣告された政令違反被告事件の判決は有効な判決と認めるべきものと解する。(所論は原審は昭和二七年二月二八日の公判期日後裁判官室において政令違反被告事件につき罰金刑に処する旨の判決を宣告したと主張するけれども、本件記録によつてはこれを認めることはできない。仮に原審が所論のように裁判官室において被告人に対し右の如く罰金に処する旨を告げたとしても、判決は公判廷において宣告されたものに限るのであるから、これをもつて判決の宣告があつたものと認めるべきものでないことは言うまでもない。)従つて原審は所論のように審判の請求を受けた事件について判決をしないという違反を犯しているものとは認められないのである。

(後略)

(註 本件は一部免訴により破棄自判)

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